ホーム > 所得税 > 台風の被害にあったら雑損控除の適用が出来る?

台風の被害にあったら雑損控除の適用が出来る?

税理士のなかやまです。

すっかり秋らしくなりましたね。
さて、皆様のお手元にも保険会社から控除証明書が届き始めているかと思います。
来月上旬には事務所から年末調整の書類をお送りしますので、なくさないよう保管しておいてください。


改めまして皆様、このたびの台風19号は大丈夫でしたでしょうか?被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

個人の場合、今回の台風の様な自然災害(震災・風水害・雪害・落雷など)で損害を被った場合は「雑損控除」を受けることが出来ます。

雑損控除の対象から除かれるものは以下のものです。
1 棚卸資産や事業用の固定資産
  これらは雑損控除をせずとも元々事業用の資産がダメになったので、事業所得の計算で除却損や廃棄損などを計上します。
2 生活に通常必要でない資産
  非常に定義があいまいに感じますが、自宅以外の別荘などの不動産やゴルフ会員権、その他貴金属や書画骨董等で1個又は1組の価額が30万円を超える生活に通常必要でない動産の事を言います。

また雑損控除は損害であればなんでもOKかと言うとそうではなく、下記の事項が適用と
なります。
1 自然災害の他
2 火災など人為による異常な災害
3 害虫などによる災害
4 盗難
5 横領

ちなみに詐欺や恐喝は雑損控除の対象外となります。

ざっくりとですが雑損控除の金額は次の計算式の「多い方」の金額です。
1 (損害額+災害関連支出-保険金)-所得金額×10%
2 損害額のうち災害関連支出の額-5万円
災害関連支出とは災害により滅失した住居・家財などを取り壊し又は除去するための費用です。
今回の台風19号でも過ぎ去った後の膨大な量のゴミのかたずけなど連日テレビで放送されていますね。そういった費用が該当します。

具体例を出してみます。
総所得金額300万、損害金額100万、災害関連支出30万、保険金50万
損失額100万+30万-50万=80万
雑損控除の控除額
1 80万-300万×10%=50万
2 30万-5万=25万
1と2のいずれか多い方 ※50万・・・雑損控除
上記の例だと所得税・住民税で大体10万ほど税額が減ることになります。

ちなみに雑損控除の適用がある場合は、領収書の添付が必要となります。

所得が1,000万円以下の方の場合、雑損控除以外にも災害減免法による所得税の軽減免除が使えます。
社会保険料控除など「〇〇控除」と言うのは、経費と同じようなもので、その額が税金から減るわけではありません。
あくまで「控除額×税率」が実際に減る税金です。
それに対し、災害減免法による所得税の軽減免除は税金そのものを軽減または免除してくれるので、こちらの方が有利な場合もあります。


法人の場合ですが、法人の資産に損害を被った場合は全て事業場の損失となりますので、特に控除などはございません。

それでは今回はこのへんで。

同カテゴリでよく読まれている記事