ホーム > 税務調査 > 税務調査はなぜ長引くのか?

税務調査はなぜ長引くのか?

おはようございます、税理士のなかやまです。

今年はすでにGWですが、今年は最大で10連休!
3年ぶりに緊急事態宣言やまん延防止が無い中でのGWとなりました。
コロナ禍ではありますが、各種イベントの緩和なども進んできてます。
少しずつではありますが元の日常になる事を願っております。

 

弊所も4月は3月の確定申告と
3月決算(5月申告)の谷間でもあり多少業務にゆとりがあったのですが、
4月~5月は税務署下半期の最後の税務調査のヤマ場でもあります。

税務署は毎年7月10日が人事異動のため、7~12月の前半と1~6月の後半で
税務調査のノルマがあると言われています。
基本的には7~12月は時間がたっぷりあるので厳しめの調査、
春先は人事異動を見据えながらの調査になるため、
あまり長引かない=軽めの調査と言うのが一般的です。
野球で言う消化試合的な感じですね。

 

弊所もご多分に漏れずいまだ複数の税務調査の真っただ中ですが、
「税務署からの連絡がとにかく遅い!!!!!(怒)」

最近の調査では、実地調査を終わった後、この内容なら決着まであと1か月かな~
と思っていたら結果5か月かかったなんてこともありました(汗)。
※実地調査 いわゆる税務署の調査官が会社に行って社長・経理担当者に
アレコレ聞きながら調査をする事。

連絡しても、ちょっと「内部検討中で~」とか「審理の確認待ちで~」とか待たされまくった挙句、
「今月中に締めたいので、明日中に修正申告出して、今週納付お願いします」とか言われる始末・・・。

 

国税通則法が改正され、昔より税務署内の事務手続きが煩雑になったことはもちろんですが、
その他の長引く理由としては以下のようなものがあります。
1 反面調査など、税務調査の補完手続きを行っている。
2 税務署内の決済をもらうために幹部職員との日程調整に時間がかかっている
3 指摘事項について修正申告させる根拠に乏しいため、単に先延ばしにしている。

 

1の反面調査は取引先だけとは限りません。
金融機関や市役所などにお尋ね文書を出すこともあります。
当然そのやり取りがあるため、日数は長くなります。


2ですが、通常は統括官(=課長クラス)決済で済みますが、増差所得(追加)が大きい場合、
重加算税案件などは重審(=重要事案審議会)と呼ばれる、
署長・副署長クラスの幹部職員の決済が必要になります。
重審には幹部職員はもちろん、審理担当や統括官も出席したりするので、
日程調整が大変になります。
ウワサでは優秀な調査事績を残した職員のお披露目を兼ねて、このような報告会を行うとか・・・。
さらにこの重審には署長向けと副署長向けの2種類があり、
署長向けの場合は事前に副署長に事案報告の「予備重審」を行います。
う~ん、役所っぽい手続き!
これだけ手続き、手続きとなればそれは時間がかかりますよね。

 

最後に3ですが、実際はこれが一番多いとか。
現場の調査官は基本的に通達で動きます。
本来は税法に基いて処理しないといけないのですが、
法律よりも通達に熟知しているので、どうしてもグレーな部分は弱くなります。
※通達≠法律です。通達は我々税理士も参考にはしますが、
あくまで役所の上級官庁⇒下級官庁への命令文書なので、必ずしも従う必要はありません。

グレーなので法的説得力にかけ、調査官自身も複数の調査を掛け持ちしながらの処理のため、
何となくズルズルと長引いてしまいます。

 

税務調査の仕事は基本的には調査官単位で行いますので、
統括官も副署長から尻を叩かれない限り、
よほどでない限り、進捗まで口をはさむことはありません。

税務調査が長引くと、「まだ何か指摘事項があるのではないか?」と不安になると思いますが、
最近の税務調査の傾向を見る限り、「そんなものだ」と割り切って、
どっしり構えていくしかないですね。

それでは今回はこのへんで。

同カテゴリでよく読まれている記事