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無申告の調査実態について(2018年7月~2019年6月)

弊所は無申告の方の申告事案・調査も積極的に受け入れておりますが、

この度国税庁が2018事務年度(2018年7月から2019年6月までの1年間)の無申告者に対する実地調査状況を公表しました。

 

 それによりますと、高額・悪質と見込まれた無申告者に対する実地調査を8,147件(前事務年度7,779件)実施し、

実地調査の結果、申告漏れ所得金額として総額1,658億円(前事務年度1,662億円)把握しました。

 追徴税額は、総額で197億円(同207億円)、1件当たりでは242万円(同267万円)となりました。

 

 2018事務年度において実地調査(特別・一般)全体で5万130件実施されておりますので、

全体の約16%が無申告者に対する調査に充てられ、実地調査(同)全体の申告漏れ所得金額6,024億円の約28%が無申告者に係るものとなりました。

 

 1件当たりの申告漏れ所得金額は2,035万円となり、前事務年度の2,136万円からは4.7%減少したものの、

実地調査(特別・一般)全体の1件当たり申告漏れ所得金額1,045万円の約2倍近くとなっており、調査件数では前事務年度に比べて4.7%増加しております。

このデータを見ると前年度からも件数が増えております、税務署が無申告者に対する調査に力を入れているのがわかりますね。

 

 また、消費税の無申告者に対しては、2018事務年度に実地調査(特別・一般)9,631件(前事務年度9,400件)実施し、

追徴税額は169億円、1件当たりでは176万円となりました。

 同事務年度の消費税に係る実地調査(同)全体は2万8,504件行われており、

全体の約34%が無申告者に対する調査に充てられ、消費税の実地調査(同)全体の追徴税額275億円の約62%が無申告者に係るものとなりました。



 調査事例では、調査対象者Aが札束や高級車を誇示しているとの一般人からの情報が寄せられ、

調査の結果、事業として内装業を営んでいたAは、売上額を本人以外の従業員名義の預金口座に振り込ませており、

かつ、自身は住民税申告で給与所得者を装って、事業所得の無申告が判明しました。

 Aに対しては、所得税5年分の申告漏れ所得金額約8,800万円について、追徴税額約3,100万円、消費税2年分の追徴税額約2,600万円が課税されました。

 無申告者は、その存在自体の把握が難しいものの、資料せんや反面調査、タレコミなど、

国税当局では有効な資料情報の収集や活用を図り、積極的に調査を実施しておりますのでご注意ください。

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