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税務調査が止まらない! 令和3年最新版・こんな経費は気をつけろ!

おはようございます、税理士のなかやまです。

10月に緊急事態宣言が明けてから、税務署からの調査依頼が連発しています。
今回は令和3年、税務調査の最新事情をお伝えします。
まず、今年10月以降の税務調査はほぼ1年半ぶりとなるので、
税務署側もかなり細かいところまで指摘しているよう感じます。

〇接待交際費・会議費・福利厚生費
個人・法人問わず、税務調査でチェックされるNo1の項目です。
以下に当てはまる場合は否認リスク大です。
・宛先が空白や上様になっている
・同行者の記載がない
・皆さんの会社の休業日に行っている(土日祝日など)
・居酒屋やラーメン屋、牛丼チェーン店などで会議費扱い
・議事録がない会議費
・そもそも回数が多い(表面的に体裁整えていても、回数が多ければ単なる食事扱い)

〇交通費
交通費で狙われるのはスイカ・パスモ等のチャージです。
経理処理では便宜上、チャージに全額を交通費で処理することが多いですが、
それはあくまでチャージを全額電車・バス等の交通費に使う事が前提です。
チャージしただけでは単なる「預け金」に過ぎないので、
それを交通費として使ったことを証明するには、
駅のチャージ機から利用明細を必ず取得しておいてください。
現在はスイカ等は交通費以外にも、自販機、コンビニ、お店の支払い等
ありとあらゆる場面で利用できます。
税務署もその点は当然熟知していますので、
利用明細がなければ全額否認される可能性があります。
利用明細取得していない方は、今日から取得するようお願いします。
また交通費以外の支払いにスイカを使いたいという場合、
プライベートの利用になると思いますが、
それは別のスイカを準備してそれで支払いをお願い致します。

〇通信費・車両関連費
・個人携帯を法人経費として計上している。
出来る限り法人名義に変えましょう。
・個人車両を法人利用としている。
携帯の個人名義より厳しいです。
法人に名義変更しましょう(任意保険含む)
・1台持ちの携帯や、家庭に1台のみの自動車の法人計上
携帯でも車でも、2台持ちで1台しか経費計上していないなら問題ありません。
1台のみの携帯・自動車をプライベートでは全く使用していないなら
証明できるように、携帯なら通話履歴明細を取り寄せる、
自動車ならタクシーの様に運行記録簿を作成して証明するくらいしか対抗策はありません。
当然ながらゲームや業務に関係ないサブスクの課金などがあったらアウトです。

〇給与・外注費
・現金支払いの給与・外注費
現金支払いはそもそも架空人件費を疑われます。
実在の人物であることを証明できるように、履歴書・マイナンバーの資料などを保管しておきましょう。
また、現金で支払った相手方は無申告である事が多いです(申告したくないから現金でもらう)。
相手先にも税務調査が入る事も想定しておいた方が良いです。
・給与の場合の「扶養控除申告書」作成漏れ
弊所から11月上旬に年末調整の「扶養控除申告書」をお送りしています
(右上に(扶)マークのもの)。
原則、社員・パートアルバイトを問わず、
入社時に全ての方にこの書類は記入してもらうようお願いします。

この書類の記載がないと、源泉所得税が「乙欄」になります。
例えば給料10万のパートさん(扶養なし)がいた場合、
扶養控除申告書の提出があれば720円の所得税を控除すれば良いですが、
提出がない場合、3,600円もの所得税を控除しなければなりません。

年末ごろに在職していれば年末調整の資料でカバーできますが、
例えば4月入社10月退社などだと、年末調整時にいませんので、
予め、扶養控除申告書の紙をコピーして会社で保存しておくか、
国税庁のHPからダウンロード・印刷してください。
なお、扶養控除申告書は「令和〇年分」と言うように毎年作成が必須です。
※国税庁HPでも毎年公開されますのでご注意ください。

〇福利厚生費
福利厚生費は、原則、従業員に対して行うものです。
その為、社長のみや社長+家族従業員のみの会社では、そもそも福利厚生が馴染みません。
また原則ですが、福利厚生は全社員に平等に機会を与えないといけません。
特定の人だけが対象だと給与課税される恐れがあるので、ご注意ください。

〇棚卸・仕掛
棚卸は決算日・年度末に販売商品・材料の在庫をカウントしますが、中々面倒ですよね。
面倒ですが、税務調査では必須の確認項目です。
期末間際に仕入れたものであれば、それに近い量が残ってないと不自然ですし、
また単価についても仕入伝票などで確認して間違えないようお願いします。
エクセル等で棚卸表を作成しているケースも良くありますが、
単価の変動まできちんとエクセルに反映していないケースがありますのでご注意ください。

期末棚卸は在庫管理だけではありません。
商品販売ではない、労務を提供する仕事(IT系、建設業、コンサル業、サービス業等)は
期をまたぐ仕事をしている場合は、人件費・外注費の棚卸も必要になる事があります。
こちらは目に見えるモノではないため、大変漏れが多いのでご注意ください。

〇契約書などの印紙
契約書・領収書に印紙が貼ってない場合は「過怠税」として、
原則3倍のペナルティーになります。
実務上は3倍ではなく1.1倍の事もありますが、
この場合、3倍又は1.1倍の印紙相当額全てが経費になりません(全額罰則扱い)。

売上規模にもよりますが、最低でも個人1日、法人2日~は丸々実地調査が行われますが、
調査内容によっては税務署への呼び出しなど、もっと長引くこともあります。
事業を営む上で税務調査のリスクをゼロにすることは出来ませんが、
いざ調査があってもスムーズに終わらせるためにも日々の処理をきちんとしていきたいものです。

それでは今回はこのへんで。

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