おはようございます、税理士のなかやまです。
今月開幕のオリンピックの為、後半の休日がズレていますね。
危うく休日に打ち合わせの予定を入れるところでした・・・。
さて今日は皆さんなんとなく聞いたことがあるかもしれない「インボイス制度」のハナシです。
本題のインボイス制度の前に、まず「消費税」のハナシを先にさせて頂きます。
事業者の皆様が決算や確定申告の時に納める消費税は、原則、以下の計算式によります。
売上にかかる消費税-経費にかかる消費税=納税する消費税
具体例で示します。
売上5,000万(+消費税500万)、経費2,000万(+消費税200万)の場合、
売上にかかる消費税500万-経費にかかる消費税200万=300万・・・会社が納める消費税
消費税は、「預り金」です。
期中の経費が3,000万だと、その消費税は300万になりますね。
その場合は500万-300万=200万・・・納める消費税になります。
つまり経費で消費税を支払っているのか、最後に税務署に支払うのかと言う、
支払先の違いなだけであって、トータルの消費税は変わりません。
また、そのトータルの消費税も得意先(お客様)から受け取った消費税の額と一致します。
消費税は得意先(お客様)から預かっているものであり、
会社が負担しているわけではないのですが、日々の運転資金と混ざってしまうので
なかなかイメージするのが難しいところです・・・。
さて本題に戻ります。
2023年10月に開始されるというインボイス制度(適格請求書等保存方式)の概要です。
まずは「インボイス制度が始まる前までに税務署に申請して、
請求書に記載する番号を発行してもらう」手続きが必要になります。
もしこの申請をせずに、皆さんがインボイス番号のない請求書を発行した場合、
得意先(お客様)は消費税の計算上、皆さんに払った消費税分を控除することが出来ません。
(例)売上5,000万(+消費税500万)、経費2,000万(+消費税200万)で
インボイスの番号がない場合
売上に係る消費税500万-仕入に係る消費税0=500万・・・納税する消費税
たとえ、請求書が2,000万(+消費税200万)で2,200万支払ったとしても
番号がない限り消費税分を控除できません。
つまり総額で経費の消費税200万+納税の消費税500万=700万支払う事になります。
受け取っている消費税が500万なのに納める消費税が700万では
預り金でもなんでもなくなってしまいますよね。
これは皆さんが受け取る請求書についても同じです。
番号がなければ、消費税を支払っているにも関わらず、
「消費税申告の計算上は控除できない」と言う事になるのです。
事業者からすれば、消費税分を控除できないのに
その支払いをするのは納得いかないと思います。
ここで重要な注意点が1つ。
このインボイスの番号ですが、消費税の課税事業者、
つまり消費税の申告がある事業者にしか発行されません。
と言う事は今まで課税売上高1,000万未満で消費税の免税事業者であった場合でも、
インボイス制度が始まったら消費税の課税事業者にならざるを得ないという事になります。
もともと消費税申告している事業者であっても、
インボイスの番号は自動的にもらえるわけではなく、
2023年10月までに申請して番号を取得しておかなければ、
請求書にその番号を記載することが出来ず、
結果、取引の相手方に迷惑がかかる可能性があります。
実際には影響の大きい中小企業や個人事業主に配慮して、
当面の間(数年)、段階的な控除割合なども設けられていますが、
そのあたりのハナシはまたの機会にご説明いたします。
法人個人問わず、全事業者に関係する事ですので、皆様ご注意ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
それでは今回はこのへんで。