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2019年10月の消費税改正のハナシ

税理士のなかやまです。

本日は施行まであと1か月ちょっとに迫った消費税改正についてです。
なんかわかるようでわからない消費税改正の要点をパパっとご説明します。
普段よりは長めですが、大事なのでどうぞお付き合いくださいませ。

今回の改正には2つのポイントがあります。
① 消費税率のアップ(8%⇒10%)
② 軽減税率の導入(史上初!)
それぞれどのような影響があるのか見ていきましょう。

 

〇消費税率アップについて
弊所にも多数のお問合せを頂いておりますが、いつから消費税10%で請求すればよいのかと言うことですが、

消費税率の判断は「商品の引き渡し」や「役務(サービス)の提供」があった時期で判断します。
その為、9月末までに前金で払ったり、前金を受け取ったりしても、商品の引き渡しや、工事の完了、サービスの提供が10月以降になる場合は消費税は10%で計算となります。
参考 国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6165.htm

 

また複数税率導入に伴い、請求書の書式改定が必要となります。
記載の必要な項目は以下の2点です。
① 軽減税率対象(8%)のものである旨
② 税率ごとに合計した対価の額(税込み)

具体的には飲食料品販売業では請求書の対象商品に※印などをつけて、8%対象〇〇〇円、10%対象×××円とする必要があります。

 

面倒ですね・・・。
ではやらなかったらどうなるでしょうか?
消費税の原則的な計算方法は、下記のとおりです。
売上でもらう消費税-仕入などで支払う消費税=税務署へ納める消費税

皆様の会社やお店に来たお客様が法人や個人事業主の場合、

請求書又は領収書でその区分がわからないと相手方の税金の計算で間違いが起きる可能性が出てきますので、ご注意ください。

 

〇軽減税率について
対象となるものはずばり、「酒を除く持ち帰りの飲食品」「定期購読の新聞」です。

持ち帰りの飲食品は8%となるため、飲食業のお客様の場合、影響が大です。
食材などの仕入が消費税率8%で、店内飲食の場合消費税率10%となるため、一時的に資金が増えたように見えますが、

消費税は先ほどご説明したように預り金的な性格なので、免税事業者でない限り全部納税に消えてしまいます。

また自社で帳簿に記載の際は、酒など10%の仕入とそれ以外の8%の仕入を分けてご記載ください。

 

飲食業に限らず、会社でウォーターサーバーを導入しているところもあるかと思いますが、
ウォーターサーバーは機械のレンタル料は10%、水は8%となります。
通常、金額もそれほど大きくないだろうし絶対間違うだろコレ!って感じですね。

その他、新聞を定期購読している会社も多いと思いますが、こちらも軽減税率の対象です。
「新聞図書費」の科目で処理することが多いと思いますが、自社入力の際は消費税コードが8%で処理お願いします(実務的には補助科目で新聞を管理するのが現実的ですね)。

但し、駅の売店やコンビニでスポット的に購入したものは10%になりますのでご注意ください。

 

皆様、今回の消費税改正により、税率は8%と10%の2つだけだと思っていますよね?
実はその8%には2種類があるんです!
① 上記の軽減税率の8%(対象となるものは説明したとおりです)
② 経過措置の8%

 

経過措置って何でしょう?

経過措置とは、本来10%なんですが、ある条件に当てはまる場合は8%で良いですよ、というものです。
例えば、2013年10月1日から2019年3月31日までの間に締結した店舗や事務所等の事業用資産のリースです。
上記の期間にリース契約を結んで、2019年10月以降も引き続きリース契約をしている場合は消費税は8%(経過措置)となります。
ちなみに2019年10月以降に同じ資産を契約しなおすと10%になります。

但し家賃(居住用の非課税を除く)は通常契約書で消費税率改定があった場合、契約期間中でも税率変更がうたわれていることが多いです。
また家賃は前家賃のケースが多いため、9月中に支払うのが10月分かと思いますので、その分から10%となります。
契約書のご確認をお願い致します。

その他に建設業や住宅等の工事の請負業ですが、2019年3月31日までに契約した場合は引き渡しが10月1日を超えても消費税は8%です。
逆に2019年4月1日以降の契約の場合は引き渡しが10月1日を過ぎると10%となります。

細かい例ですが、電気代などは9月5日~10月5日と言うような期間で検針(請求)されますよね?
これも軽減税角対象で、9月から10月をまたぐ期間の請求分1回に限り経過措置の対象となります。

その他新幹線のチケット等は9月30日までに購入した場合は、10月1日以降に乗車しても追加の費用は発生しません。
細かい事を言いますと、回数券等は購入時に「貯蔵品(資産)」となり、使用時に初めて「旅費交通費(経費)」となりますが、

9月に購入して10月に使用した場合はの消費税率は経過措置で8%となりますのでお間違えないよう気を付けてください(実務的には購入時に費用処理することが多いので問題ないと思いますが)。

 

結局、8%だからどっちでも良いでしょ?って思っていませんか?
実は消費税は国税にあたる「消費税」と地方税にあたる「地方消費税」にわかれています。
経過措置の税率(いわゆる現在の8%)の内訳は国税6.3%、地方税1.7%、
軽減税率の税率(10/1以降の8%)の内訳は国税6.24%、地方税1.76%となっています。

当然、決算にあたってはこれらは全く別物で計算しますので自社経理でご入力の場合はご注意ください。

 

何とも経理担当者泣かせの改正ですね・・・。
他にもいろいろレアなケースもあり全てをご紹介するのは不可能なので、ご質問等ございましたら弊所までお問い合わせください。

8月も後半となりましたが残暑が厳しいですね。
暦の上では秋となりましたが、まだ1か月程暑い日が続くようなので、皆様体調崩されないようご自愛ください。

それではまた。

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