日本商工会議所は、女性の働きたい意思を尊重した税・社会保険制度に関する提言を公表しました。
それによりますと、女性の活躍推進を制約する要因の一つとして指摘される税制・社会保険上の阻害要因を最大限解消するために、
①配偶者控除の見直し
②社会保険制度の見直し
③企業による扶養手当見直しの3点を提言しております。
現行の所得控除制度(基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除)は、累進税率の下では高所得世帯ほど税負担が軽減されており、多くの子育て世帯が含まれる低所得者世帯(年収300~400万円)には税負担の軽減効果が小さいと指摘しております。
そのため、配偶者控除については、見直しに当たって、基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除を一本化し、所得額によらず税負担の軽減額が一定となる税額控除制度への移行を求めております。
その際、夫婦それぞれの所得に対して税額控除を適用するとともに、夫婦どちらか一方に控除しきれない税額控除額がある場合、他方の税額控除に上乗せする仕組みとすべきであると提言しております。
社会保険制度の見直しについては、被保険者間の公平性、保険財政的な視点も踏まえて総合的な検討が必要とし、社会保険(厚生年金、健康保険)の保険料負担によって急激な手取り額の減少が生じる「130万円の壁」を最大限解消するため、世帯単位で見た手取り額の減少幅を縮小するための保険料負担の段階的減額など、制度改正や政策的措置を総合的に検討することを求めております。
企業による扶養手当の見直しについては、約5割の企業が103万円、2割の企業が130万円を基準として扶養手当を支給しており、世帯単位での手取り額の逆転に拍車をかけていると指摘しております。
日本商工会議所では、上記についても社会保険と同様、なだらかな支給に変えていく、あるいは扶養手当を廃止、子育て手当に支給を重点化するなどの検討も必要であり、政府はそうした企業の取組みを後押しするインセンティブの付与を検討すべきことを提言しております。
今後の動向に注目です。
(注意)
上記の記載内容は、平成28年1月5日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。