昨年8月上海株の暴落、通称「チャイナショック」があったりと、中国経済の減速が懸念されています。
今年7~9月期の国内総生産(GDP)の成長率が前年同期に比べ7.0%を割り、6.9%にとどまりました。
7%割れは、リーマン・ショック後2009年1~3月期の6.2%以来、6年半ぶりのこととなります。
また、鉱業、製造業の活動状況を示す鉱工業生産統計は2014年12月の7.9%増から現在は6.1%増まで鈍化しています。
中国経済は輸出不振など成長の鈍化傾向が高まっているといわれています。
こうした中国経済の減速は、日本企業にどのような影響を与えるのでしょうか。
もっとも大きな打撃となると予測されているのは、中国向けの輸出産業で、そのほかにも小売業への影響が懸念されています。
とくに、日本企業のなかには、小売りを中心にインバウンド(訪日外国人客)の爆買いが売上を下支えしているところもあります。
中国経済が減速し、爆買いがなくなると、売上減少に直結し、日本経済にとってリスクとなります。
現状としては、自動車や電機(スマートフォン)などについては、徐々に影響が出始めています。
一例を挙げると、曳船事業を主力とする東京汽船は中国向け輸出の減少などに伴い、入出港する船舶数が減少しました。
結果、売上の低下を余儀なくされています。
自動車・建設機械部品大手のプレス工業は中国での建設需要の落ち込みにより、減産となった製品があります。
概して、自動車関連の生産機械やスマートフォンに用いられる半導体のメーカーなどで、売上減少の傾向が徐々に見られます。
中国経済の低迷による影響は、日本企業にも及ぶと懸念されています。
すでに自動車や電機産業では、売上低下の傾向が表れている企業もあります。
ただ、小売業には、まだ悪影響は及んでいないようです。
中国人の消費は伸び悩んでいるものの、増加の傾向は続いています。
たとえば、中国小売売上高は、8月に前年比10.8%増と前年よりも増えており、成長が鈍化した鉱工業生産統計と比べると、堅調といえます。
また、日本に訪れる中国人観光客の数も堅調で、2015年1~9月期の累計では383万人となり、前年同期比は2倍以上の数字で推移しています。
2014年、1年間での訪日中国人観光客は240万人です。
仮に倍増して500万人になったとしても、中国人の海外旅行者数は1億人もおり、訪日中国人は旅行者のなかの5%に過ぎません。
このことからも、今後、伸びる余地は大きいとみられています。
小売業のなかでも、化粧品会社や紳士服については、中国人の爆買いの対象としてますます人気が高まっています。
化粧品会社のなかには、インバウンドの売上が前年の3倍にも及び、売上全体の2割近くに及ぶところもあります。
ただ、こうした爆買いの背景には円安からくるお得感も要素の一つとしてあります。
専門家のなかには、2016年は円高傾向に振れると主張する人もいます。
現在の円安水準が反転して、円高に向かうとなると状況は一変する可能性もあります。
中国は現在、GDPは世界で第二位の経済大国です。
今後、さらに、景気後退した場合、その影響は日本企業の業績を大きく左右することになります。
そして、その結果、世界経済全体に及ぶ可能性も考えられます。
その時に中小企業が生き残れるように、何かしら手を打っておく必要があります。
参考:(株)税務研究会 税研情報センター