ホーム > 所得税 > 帳簿の保存期間

帳簿の保存期間

早いもので1月も後半戦、もういくつ寝ると確定申告~♪の時期ですね。

弊所でも個人のお客様からの問い合わせや申告のご依頼が徐々に増えてきております。


そんな中先日、神奈川県弁護士会で確定申告の研修講師を行ってまいりました。
弁護士の場合、着手金や中間金、また源泉所得税の徴収方法などで独特の取り扱いがあるんです。

1時間半程の研修の最後に質疑応答の時間を設けたのですが、
その中で「書類はどの程度保管しておけば良いのか?」と言う質問がありました。

帳簿書類の保存期間は、個人・法人、青色申告・白色申告で期間は異なっており、
保存期間は個人の場合、5~7年、法人の場合は9年となっています。

それでは何を保存すればよいのかと言うと、保存が必要なものは大まかにわけると「書類」と「帳簿」があります。
似たように感じますが、税務上、「書類」と「帳簿」はそれぞれ明確に定義されており、
「書類」とは請求書や領収書、見積書・納品書など多岐にわたり、書類の種類によって保存期間がわかれます。
これに対し「帳簿」とは上記書類を集計したもので、現金出納帳、売掛台帳、買掛台帳、固定資産台帳などです。

なぜこんなに長い期間保存しなければならないかと言うと、
脱税をした場合の遡り期間や、青色欠損金の繰越可能期間と連動しているからです。
税務調査が入った場合、内容により何年も過去に遡って追徴課税されるからなんですね。


以前は白色申告は帳簿の作成や保存義務がなかったのですが、今は保存義務があります。
手間がからないから白色申告にして、資料を捨ててしまう方がいらっしゃいますが、
白色申告の場合、推計課税と言う恐ろしい課税方法が税務署に認められています。

推計課税とはその名の通り、税金を「推計」で計算されるわけです。

本当は10万の税金がったとしても、資料がないので100万円で課税される事もあるかもしれません。
10倍は大げさにしても、同業他社等の比較で計算されることが多く、
不利になる可能性も十分にありますので注意したいところです。


青色申告は届け出が必要で、適用年度によりその届出可能期間も決まっておりますが、
白色申告と比べてメリットがとても多いので弊所では出来る限り青色申告で申告をしています。

何年分もの資料となると保存場所の確保が大変かと思いますが、
保存期間中は処分しないようご注意お願い致します。

それではスキャンして、データで保存しておくのはどうなのかと思いますが、
こちらは「電子帳簿保存法」と言う法令に定めた手続きを踏めば可能です。

以前はハードルがものすごく高かったのですが、改正により多少緩和されました。
とは言え、領収書等の受領後、3日以内にタイムスタンプを付さなければならない等
まだまだ中小企業にとっては大変かと思います。


電子帳簿についてはまた別の機会にご説明したいと思います。

それでは今回はこの辺で。

同カテゴリでよく読まれている記事