おはようございます、税理士のなかやまです。
いよいよ今年の10月1日からインボイスが始まる事は皆さんご承知かと思います。
さらに来年1月1日からは電子帳簿保存法が始まります。
税務関係がどんどん複雑化する今日この頃で大変ですね・・・(汗)
今日は大変勘違いが多い電子帳簿保存法のおさらいです。
まず、電子帳簿保存法は大きく分けて以下の3つがあります。
(ほとんどの人はここが既にゴチャゴチャになってます!)
1 帳簿書類の電子データ保存・・・任意
2 書類のスキャナ保存・・・任意
3 電子取引データの保存…強制!
上記の3つを簡単に説明します。
1 帳簿書類の電子データ保存
まずそもそもここで言う「帳簿書類」とは何でしょうか?
帳簿書類は、ズバリ「決算書」と「総勘定元帳」です。
弊所から決算後に返却している薄緑のファイルの事です。
ちなみに「決算書」「総勘定元帳」を電子帳簿にするためには、
そもそもみなさんの会社で電子帳簿対応の会計ソフトを導入してないとダメです。
まあ、最近はほぼすべてのソフトメーカーが電子帳簿に対応しているとは思いますが、
自社でソフトがある事が前提なので、弊所で入力作業を依頼している会社は対象外です。
また、総勘定元帳をCDロム(PDF)で返却する場合がありますが、
あれは電子帳簿保存ではありませんので、必ず自社で印刷をお願い致します。
2 書類のスキャナ保存
これと3の電子取引データがゴチャゴチャになっている人が大変多いです。
書類のスキャナ保存と言うのは、日々の取引で発生する、請求書・領収書その他もろもろの
紙資料をスキャナでPDF保存すると言うものです。
紙資料・・・。減らしたいですよね~(遠い目)。
多くのお客様から、「紙の資料が邪魔なんだけど、いつまでとっとけばいいの?」とよく聞かれます。
実務的には税務調査対象期間が3年(色々出てくる場合はもっと・・・)ですが、
法律上は10年なので、税理士と言う立場上、「10年保存で・・・」とお願いしております。
特定の要件を満たして保存できるのであれば、紙の資料は捨てても構いません。
ちなみにこの書類のスキャナ保存は任意なので、今までどおり紙で残しておいても問題ありません。
実務的にはお金をかけてタイムスタンプを導入するか、タイムスタンプ機能のある会計ソフトに取り込むか・・・ですかね。
ハッキリ言って、今まで通り書類の場所を我慢するか、金をかけて物を減らすか、です。
3 電子取引データの保存
さて、いよいよ今日の本題、令和6年1月1日から強制される電子取引データの保存についてです。
先に結論ですが、来年から強制されるのは、そもそも紙ではなく、Eメールやダウンロードなどで
請求書や領収書をやり取りする電子取引データのみが対象です。
なので、弊所からお送りするメールでの請求書は対象となります(滝汗)。
そもそもですが、電子取引データの保存には3つの要件(=保存要件)が必須でした。
1 改ざん防止(タイムスタンプの付与など)
2 検索機能の確保(PDFの名称を日付・金額・取引先にするなど)
3 ディスプレイ・操作説明書の備え付け(データなので、PCで見れることが前提)
実際はこの電子取引データの保存は令和5年1月から始まっているのですが、
経過措置として紙出力でも代替え可能です。
この経過措置は12月31日で終わりなのですが、実際は中々進まないと言う事もあり、
新しい「猶予措置」が設けられました。
猶予措置の内容ですが、以下となります。
1 税務調査の際に電子取引データのダウンロードの要請に応じる事
2 電子取引データの書面出力に応じる事
上記の猶予措置2要件を満たす場合は、保存要件1~3を満たす必要がなくなるのです。
(電子データの保存は必要です)
仮に「うちはちゃんと電子取引データの保存をするよ!」と言う会社でも、
以下の場合、検索要件は不要です。
1 2期前の売上高が5,000万円以下
2 電子取引データの書面出力に応じる
電子取引データの保存の何が面倒かといえば、この検索機能の確保かと思います。
皆さん、請求書や領収書などをメール添付やダウンロードで受取ることはあると思いますが、、
このPDFをいちいち名称変更するのは実に手間だと思います。
(弊所でオススメしている、「日付相手方金額.PDF」と言う形式ですね)
売上高の縛りはあるものの、名称変更が不要と言うのはとても大きいです。
この改正もそのうちまた変更になるかもしれませんね・・・。
それでは今回はこのへんで。