弊事務所でも最近女性の社長や個人事業主からのお問い合わせが増えています。
安倍首相は成長戦略の一つとして、「女性の社会進出を促す」とウィメノミクスを掲げています。
(ほんとに「~ミクス」がお好きなようですが。)
そのなか、ここ数年で、女性の働きかたの一つとして、「サロネーゼ」が注目を集めています。
サロネーゼとは、自宅でサロン(教室)を主催する女性をいい、教室の種類は料理や手芸、フラワーアレンジメント、美容と多岐にわたります。
サロネーゼは知り合いの主婦を生徒に教室を開いているケースが多くを占めますが、なかには予約が8年待ちという繁盛している教室もあります。
人気のサロネーゼの一つを例に紹介すると、ここでは収納と掃除のコツを教えています。
基本コースでは、玄関収納、掃除の基本、書類整理法といったテーマごとにレッスンを繰り広げます。期間は約1年、10回のレッスンがあります。
このサロンではその日の話が終わると、最後にサロネーゼ自らがこしらえたランチをふるまいます。
これもテーブルの装いを学ぶレッスンの一環ですが、和気あいあいと歓談を楽しむ時間があるのも特徴です。
こうした「おもてなし」による、生徒の満足度を高める工夫も人気の要因になっています。
ただし、最近では、サロネーゼが雑誌などで取り上げられたこともあり、競争が激しくなっています。
教室は自宅で簡単にできることや、テーマは家事や美容などと身近なものをとりあげるため、比較的だれでも参入できます。
また、生徒の満足度を上げるための「おもてなし」がコストを増して、利益を圧迫する要因にもなっています。
サロネーゼとして生活できるほどの収入を得ているのは、100人中5人程度といわれています。
サロネーゼとして生き残るには激しい競争がありますが、なぜ今、サロネーゼが注目されているのでしょうか。
なにより、自分の好きなことや特技を活かし、自分らしい働き方ができる点が、女性にとっての魅力だといわれています。
サロネーゼかどうかはわかりませんが、自分の好きなことや特技を生かすという意味では「片づけコンサルタント」の近藤麻理恵さんなどまさにその代表と言えるのではないでしょうか。
加え、サロネーゼという働き方は、家庭と仕事を両立に適していることも大きなメリットとして挙げられます。
とくに、女性のなかには、家庭と仕事とのバランスを図るため、子育てをしながら外で働くのは難しいと考える人が少なくありません。
とはいえ、ずっと家にいるのでは、社会との接点が薄れてしまうのではないかと不安に思う人もいます。
その点、サロネーゼは自宅で子育てや家事の空いた時間を利用して働くことができるため、働くスタイルの選択肢を増やすという意味でも有効です。
こうした、サロネーゼの人気に目を付け、タイアップを実現した企業もあります。
キッチンメーカーのクリナップは、日本全国にあるサロンについて、情報を発信する、サロネーゼ検索サイトをオープンしました。
さらには、日本橋三越本店の「はじまりのカフェ」に、同社の最新システムキッチンを出展し、そこで人気サロネーゼによる講座を開催しました。
ほかには、サロネーゼや化粧品メーカーと共同でコスメを開発し、好評だといいます。
現在、日本では、女性の力を活用することが国策として掲げられています。
そのなかで、女性管理職を増やすといったことが一つとしてあります。
それとは別に、企業としては、こうした、自宅で働く女性とタイアップすることが新しい活用の形として有効だといえます。
記事提供 (株)税務研究会 税研情報センター