おはようございます、税理士のなかやまです。
祝日がない6月になりました・・・。
6月は上半期の源泉所得税の締め月となります。
給与や税理士報酬から天引きしている源泉所得税は、原則支払い月の翌月10日までに納付
が必要ですが、人数10人未満の会社・個人事業主の場合は、半年に1回の納付で済みます。
(これを「納期の特例」と言います)
その為、今月は弊所職員が皆様の会社・事業所へ給与明細のご提出を依頼すると思いますが、
何卒ご協力の程お願い致します。
なお納付書は月末頃発送予定です(納期限は7/10です)。
さて今日の本題です。
本日は来年1月1日からスタートする「電子帳簿保存法」についてお話しします。
最近ではTVのCMなどでも「その請求書、印刷したらアウト~!」とかやってますよね。
電子帳簿保存法は、電子的に受け取った請求書・領収書の類はそのままデータで保存しなければ
帳簿とみなさない、というものです。
具体的に言うと、PDFで受け取った請求書や領収書は印刷せずに、そのままPDFで保存が
必要という事です。
電子帳簿保存法自体は1998年の話なので、実際は「改正電子帳簿保存法」の事なのですが、
これは本来、令和4年1月1日から施行される予定でした。
ところが中々浸透しないので、2年間の「宥恕措置」が取られることになり、実質的に2年間
先送りされることになりました。
一般にはあまり聞きなれない「宥恕措置(ゆうじょそち)」ですが、税務の世界では時々目にします。
「宥恕措置」を簡単に説明すると、「本当はアウトだけど、特別に許してやる」という、
大変上から目線な救済措置となります(汗)
現在、宥恕措置真っ最中ですが、令和4年1月1日~令和5年12月31日の2年間は、
電帳法に定められた要件に従って電子データを保存できなかったとしても、
「やむを得ない事情があり」、税務調査の際にデータをしっかりと提示・提出できるなら
法律違反とはみなさない、というものです。
それでは「やむを得ない事情」とはどんな事情なのでしょうか?
この回答は国税庁FAQに以下のとおり載っています。
税務調査を受けた際に、現在の対応状況や今後の見通しを具体的でなくても結構ですので
適宜お知らせ頂ければ差し支えありません」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/030628/pdf/01.pdf#page=21
事前申請も不要ですし、こんな程度で良いんですかね?
この「宥恕措置」が令和6年1月1日以降は「猶予措置」に変わります。
それに伴い、「やむを得ない理由」が「相当の理由」に変わります。
某機器メーカーの電子帳簿保存法の対応状況について、
税理士にアンケートを取ったところ、顧問先で電子帳簿保存法の対応が完了している
と回答したのは5%未満だったとか・・・。
令和6年1月からは電帳法の要件に従ってデータを保存していなくても、
そのことについて「相当な理由」があり、税務調査時にデータのダウンロードが出来、出力画面を
提示・提出できるなら法律違反とはならないとの事ですが、
猶予措置に盛り込まれている「相当の理由」とは何でしょうか?
大きな違いとしては猶予措置は時限的な「経過措置」ではなく、本則として規定された
恒久的な措置であるという点が大きく異なります。
つまり、これは電帳法が定着するまでの時限的なものではなく、この猶予措置が適用される限り
半永久的に紙保存が認められる(?)という事になります。
また猶予措置では「ダウンロードの求め及び~」となっていることから、
データ形式でも渡せるようにしておく必要があります。
ちなみに、気になる「相当の理由」はまだ国税庁のFAQなどに情報が出ておりませんが、
宥恕措置と大きく変わるとも考えにくいです。
しっかりとやる必要があるのか無いのか、モヤモヤした感じの残る電子帳簿保存法ですが、
引き続き今後の動向を見守っていきたいと思います。
それでは今回はこの辺で。