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電子帳簿保存法の「宥恕規定」と「猶予規定」

おはようございます、税理士のなかやまです。

祝日がない6月になりました・・・。

 

6月は上半期の源泉所得税の締め月となります。

給与や税理士報酬から天引きしている源泉所得税は、原則支払い月の翌月10日までに納付

が必要ですが、人数10人未満の会社・個人事業主の場合は、半年に1回の納付で済みます。

(これを「納期の特例」と言います)

その為、今月は弊所職員が皆様の会社・事業所へ給与明細のご提出を依頼すると思いますが、

何卒ご協力の程お願い致します。

なお納付書は月末頃発送予定です(納期限は7/10です)。

 

さて今日の本題です。

本日は来年11日からスタートする「電子帳簿保存法」についてお話しします。

最近ではTVのCMなどでも「その請求書、印刷したらアウト~!」とかやってますよね。

 

電子帳簿保存法は、電子的に受け取った請求書・領収書の類はそのままデータで保存しなければ

帳簿とみなさない、というものです。

具体的に言うと、PDFで受け取った請求書や領収書は印刷せずに、そのままPDFで保存が

必要という事です。

 

電子帳簿保存法自体は1998年の話なので、実際は「改正電子帳簿保存法」の事なのですが、

これは本来、令和411日から施行される予定でした。

ところが中々浸透しないので、2年間の「宥恕措置」が取られることになり、実質的に2年間

先送りされることになりました。

 

一般にはあまり聞きなれない「宥恕措置(ゆうじょそち)」ですが、税務の世界では時々目にします。

「宥恕措置」を簡単に説明すると、「本当はアウトだけど、特別に許してやる」という、

大変上から目線な救済措置となります(汗)

 

現在、宥恕措置真っ最中ですが、令和411日~令和51231日の2年間は、

電帳法に定められた要件に従って電子データを保存できなかったとしても、

「やむを得ない事情があり」、税務調査の際にデータをしっかりと提示・提出できるなら

法律違反とはみなさない、というものです。

 

それでは「やむを得ない事情」とはどんな事情なのでしょうか?

この回答は国税庁FAQに以下のとおり載っています。

税務調査を受けた際に、現在の対応状況や今後の見通しを具体的でなくても結構ですので

適宜お知らせ頂ければ差し支えありません」

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/030628/pdf/01.pdf#page=21

 

事前申請も不要ですし、こんな程度で良いんですかね?

 

 

この「宥恕措置」が令和611日以降は「猶予措置」に変わります。

それに伴い、「やむを得ない理由」が「相当の理由」に変わります。

 

某機器メーカーの電子帳簿保存法の対応状況について、

税理士にアンケートを取ったところ、顧問先で電子帳簿保存法の対応が完了している

と回答したのは5%未満だったとか・・・。

 

令和61月からは電帳法の要件に従ってデータを保存していなくても、

そのことについて「相当な理由」があり、税務調査時にデータのダウンロードが出来、出力画面を

提示・提出できるなら法律違反とはならないとの事ですが、

猶予措置に盛り込まれている「相当の理由」とは何でしょうか?

 

大きな違いとしては猶予措置は時限的な「経過措置」ではなく、本則として規定された

恒久的な措置であるという点が大きく異なります。

つまり、これは電帳法が定着するまでの時限的なものではなく、この猶予措置が適用される限り

半永久的に紙保存が認められる(?)という事になります。

 

また猶予措置では「ダウンロードの求め及び~」となっていることから、

データ形式でも渡せるようにしておく必要があります。

 

ちなみに、気になる「相当の理由」はまだ国税庁のFAQなどに情報が出ておりませんが、

宥恕措置と大きく変わるとも考えにくいです。

 

しっかりとやる必要があるのか無いのか、モヤモヤした感じの残る電子帳簿保存法ですが、

引き続き今後の動向を見守っていきたいと思います。

 

 

それでは今回はこの辺で。

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