日本の少子高齢化が叫ばれてもうかなり経ちますね。
人口減少を契機に、人口減少が地域経済の縮小を呼び、地域経済の縮小が更なる人口減少を加速させるという負のスパイラルに陥ることが危惧されています。
また、地方と東京の間の経済格差拡大が、東京への一極集中と若者の地方からの人口流出を招いています。
特に若者の地方からの流出は、大学入学時及び大学卒業・就職時の若い世代に集中しています。
このため、大学卒業後に若い世代の地方定住を促進するためには、在学中から授業等を通じて地域との関わりを深める取組みや、大学等の卒業生が地方に定住して働けるような雇用を創出することが求められます。
こうした状況を受けて、文部科学省では、2015年度から大学が地方公共団体や企業等と協働して、学生にとって魅力ある就職先を創出するとともに、その地域が求める人材を養成するために必要な教育カリキュラムの改革を断行する大学の取組みを支援することで、地方創生の中心となる「ひと」の地方への集積を目的として「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(略称:COCプラス事業)」を実施しています。
この事業では、とくに地方の大学群と地域の自治体・中小企業やNPO、民間団体等が協働し、地域を担う人材育成を推進するとともに、地域の雇用の創出を図ることや地元就職の促進を図ることを通じて、若年層人口の東京一極集中を解消することを目的としています。
2015年9月には、56件の申請のうち42件が当該事業に採択され、各地域において産学官協同により地域を担う人づくりに向けた取組みが行われています。
では、地(知)の拠点大学による地方創生推進事業では具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。
そこで島根県での取組みをみていきましょう。
島根県では、島根大学を申請校、島根県立大学、島根県立大学短期大学部、松江工業高等専門学校を参加校、島根県を参加自治体として、「地域未来創造人材の育成を加速するオールしまね協同事業(通称:オールしまねCOC+事業)」を推進しています。
2015年12月12日には、当該事業の一環として、「しまね大交流会」という異業種大交流会が開催されました。
この交流会は高等教育機関、企業・NPO等の団体、自治体などが一堂に会し、それぞれの取組みの強み・魅力・課題を知ることを狙いとするもので、出展団体はポスターセッションや展示で自らの団体の情報を発信し、他の参加団体や来場者と交流を図るものです。
交流会には、ものづくり、IT、地域資源・観光、環境・エネルギー、農林水産、食・六次産業、医・介護・福祉・ヘルスケア、金融、ひとづくり・まちづくりの9分野から計237の出展がありました。
各参加団体のメリットについてみていくと、まず高等教育機関にとっては、学生の自己研鑽、インターンシップ先の開拓などといった教育上のメリットに加え、共同研究のきっかけをつくるなどといった研究上のメリットもあります。企業にとっては、普段の事業では接点の少ない大学等、異業種の企業、自治体などと交流を図ることができます。
自治体にとっては、情報発信のメリットに加え様々な支援のきっかけをつかむことができます。
参考:(株)税務研究会 税研情報センター