令和7年、新年あけましておめでとうございます。
税理士のなかやまです。
早いもので令和も7年目になりました。
お陰様で年末調整もほぼ終わりました。
事務所は1月6日からの開始となりますが、順次返却作業に入ります。
納付する所得税がある場合、毎月納付の場合は1/10までに、
半年毎の納付の場合は1/20までに必ず納付をお願いします。
(金額によっては1日でも遅れるとペナルティが発生します)
さて昨年末からの「〇〇の壁」がニュースを賑わしていますが、
何だかんだで今年は先送りになりそうですね。
中小企業の経営者に直接影響しそうなものも色々ありまので、
わかったようなわからないような「〇〇の壁」について、説明したいと思います。
① 「100万の壁、103万の壁」について。
給与収入の場合、100万円を超えると住民税が発生します。
そして103万を超えると所得税が発生します。
なぜ住民税は所得税より3万低くても発生するかを説明します。
まず、給与収入についてはその額面(=社会保険や各種税金を引く前)に対して
税金がかかるわけではなく、給与の額に応じて一定の控除があります。
これを「給与所得控除」と言い、下限は55万です。
つまり年間103万の収入がある場合、103万-55万=48万が給与収入の所得(≒利益)になります。
そしてこの48万から皆さん本人の基礎控除を引きます。
この基礎控除ですが、所得税は48万、住民税は43万と差があります。
つまり103万の場合、以下の様になります。
所得税 103万-給与所得控除55万-基礎控除48万=0・・・所得税無し
住民税 103万-給与所得控除55万-基礎控除43万=5万・・・住民税有り
ちなみに住民税は利益部分にかかる所得割と全員にかかる均等割に分かれており、
自治体により所得割・均等割が100万以下はかからない事が多いです。
② 「106万の壁」について。
106万を超えると社会保険加入が必要になりますが、
こちら従業員51人以上の企業が対象になります。
この規模になると社会保険労務士と契約している事も多いので、手続的には問題ないでしょう。
106万と言うのは年収換算になりますので、月ベースだと約88,000円以上になります。
最近はこの51人と言う人数制限が撤廃され、週20時間超えたら加入云々が
話題になっているので、こちらは改正されるとかなり影響があります。
社会保険料率は介護保険の有無にもよりますが、おおよそ会社・従業員それぞれ
約15%弱の負担になります。
今まで扶養だったのがいきなり給与から社会保険15%引かれたら、そりゃねぇ・・・(汗)。
③ 「130万の壁」
こちらは従前からあった、給与収入が130万を超えると「社会保険の扶養から外れる」
と言うものです。
社会保険の扶養から外れれば自分で社保加入が必要になりますので、
こちらも負担が増えますね・・・。
ちなみに給与が103万円を超えると所得税・住民税の扶養からも外れます。
但し、配偶者の場合は「配偶者特別控除」と言うものがありますので、
103万を超えたからと言って急に扶養控除がゼロになるわけではなく、段階的に下がっていきます。
※お子さんなどの配偶者以外の扶養はいきなりゼロになります。
④ 「150万の壁」
150万を超えると上記③で説明した、配偶者特別控除が減少していきます。
給与収入が103万以下は配偶者控除38万円がうけられますが、
給与収入103万超150万以下だと配偶者特別控除になるものの、控除額は同じ38万です。
但しこれはあくまで所得税の話ですので、③の130万の壁を超えると、
社会保険は加入必須(=社保の扶養は外れる)、でも所得税は扶養(=配偶者特別控除が満額)
となり、一般の方は「?????」となるわけです。
この配偶者特別控除は段階的に下がりますが、給与収入201万まで受けることは可能です。
う~ん、複雑ですね(汗)。
会社によっては収入により家族手当などもあったりと、それではいくらが得なのか、
一概に「コレ!」と決めるのは中々難しかったりします。
このメルマガの読者層が弊所のお客様=経営者である事を鑑みると、
130万=社会保険の壁=会社の負担も増える、と言うとこが一番大きいのではないでしょうか。
個人的には人手不足及び賃金が上昇している現在、130万の壁を何とかして欲しいところですね。
それでは今回はこのへんで。