ついに今年も残すところあと1か月になりました。
会計業界的には年末調整真っ盛り、師走もとい(税理)士も走ってます・・・。
年末調整の資料をご返送頂いていないお客様については、早急にご返送下さいますようお願い申し上げます。
さて新聞等でも賞与の記事が紙面を賑わしていますように、12月に賞与を支給する会社・事業主の方も多いかと思います。
今回はそんな賞与の注意点についてご説明いたします。
社員や従業員に対する賞与については当然経費とすることが出来ますが、
法人の役員(社長、取締役など)に対する賞与は、残念ながら原則経費になりません。
理由は同族会社の場合、賞与はお手盛りになりやすく利益調整に使うことが出来るため、
税務署は役員に対する賞与を認めておりません。
但し例外があり、前回の決算から1か月以内に税務署へ届出を出せば賞与を支給することが可能です(事前確定届出給与と言います)。
具体的に説明すると、12月決算で、前回の決算確定日が平成30年2月25日だった場合、
平成30年3月25日までに、「〇〇社長に何月何日に〇〇万円賞与を支給する」と言う届出を提出すれば賞与が経費と認められます。
つまり平成30年12月に役員に対して賞与を出す場合は、平成30年3月までに賞与を設定しなければなりません。
また、この届け出は適用が非常に厳しく、原則1日でも日にちをずらしてはならず、また金額も増減は1円たりとも認められません。
(実務的には届出の支給日が土日だったり、資金繰りの関係で1週間くらいずれても指摘されたことはありませんが、
条文では届出の日でないと経費として認められません。)
つまり賞与の届出を出すには新しい期が始まってすぐに業績予想を立てなければならないので、実際に届出をするかどうかはよく検討が必要です。
届出は弊事務所で行いますので、検討される場合はご相談ください。
また従業員への決算賞与は節税にも使えます。
12月決算法人の場合、12月中に支給すれば経費になるのは当然ですが、
翌年の1月に支給しても経費(未払賞与)として処理することが可能です。
ただしこれには要件があります。
1. 決算末までに支給対象の各人に対し、通知する事。
※最近は証拠能力が高いメールがオススメです。
2. 決算月の翌月中に実際に支給している事。
※12月決算であれば1月に支給
上記の2つを満たせば、経費を増やすことが出来ます。
資金繰りも1か月遅く出来るので、是非参考にして頂ければと思います。
個人事業主はそもそも給与の概念がありませんが、家族従業員(いわゆる青色専従者)に対し
賞与を出すことは可能です。
青色専従者に支給する場合は、届出に賞与の記載が必要なので、注意が必要です。
こちらも届出は弊事務所で行いますので、検討される場合はご相談ください。
また青色専従者の場合、給与の未払計上は認められず、
経費として計上するには必ず支給しなければならないので、その点も注意が必要です。
実際の支給にあたって、賞与の源泉所得税の計算は特に注意が必要です。
通常は源泉所得税税額表を基に給与が〇〇万円で社会保険が××円で、扶養○人・・・と表を見て計算しているかと思いますが、
賞与は、前月の社会保険料控除後の金額と扶養家族を基に料率をかけます。
月給30万、賞与50万の場合で説明いたします。
(例)月給30万、社保4.5万、扶養なしの場合(年齢・都道府県で社保料率など変わりますので、大まかな目安です)
11月の給与 月給300,000-社会保険45,000=課税所得255,000・・・所得税6,750
12月の賞与 賞与500,000-社会保険74,500=課税所得425,500
425,500×6.126%・・・賞与の所得税26,066円
※6.126%は前月(11月給与の社会保険料控除後が252,000以上300,000未満で、扶養ゼロの料率です)
多くの場合、「前月の課税所得」に料率をかけるところを「当月の賞与・給与」に料率をかけてしまう間違いが散見されます。
給与計算ソフトを使っている場合は良いですが、賞与の所得税の計算は大変間違いが多いところなのでご注意ください。