1. 法人と個人事業主、どちらを選ぶべきか?
会社設立を検討している方々にとって、「法人」と「個人事業主」のどちらを選ぶべきかという悩みはよくあることです。
特に創業時に融資を申請する際に、どちらの形態が有利かを考えることが多いでしょう。
一般的に、法人の方が信用度が高いとされていますが、それが必ずしも正しいわけではありません。
実際、法人設立の方が有利だという考え方は誤解に過ぎない場合もあります。
事業の規模や状況によって、法人または個人事業主としての融資申請がどう影響するのか、詳しく見ていきましょう。
2. 法人組織が有利という誤解
「法人の方が信用度が高いため、法人設立の方が有利だ」という意見を耳にすることが多いですが、実務上必ずしもそうとは言えません。
例えば、個人事業としてすでに5年、10年と事業を続けており、売上規模も安定している場合、
銀行から融資を受けやすくなるのはむしろ法人化した場合です。
理由は、融資を担当する銀行の担当者が法人の決算書に慣れているため、
法人の決算書を分析する方がより信頼性が高いとされているからです。
もちろん、法人設立だけがすべてではありませんが、
法人化することで企業の実績をより証明しやすくなるという点は大きなメリットと言えるでしょう。
3. 創業融資における法人と個人の違い
では、創業融資に関して法人と個人の選択肢には大きな違いがあるのでしょうか?
実際、日本政策金融公庫の「よくある質問」には、以下のように記載されています。
Q: 個人での創業と法人での創業に融資申込に違いはありますか?
A: 融資申込について、個人と法人で大きな違いは特にありません。
法人で申込む際には履歴事項全部証明書(登記簿謄本)が必要になるくらいで、
融資を受けるうえでどちらが有利ということはありません。
これにより、創業融資に関しては法人か個人かの選択が審査において決定的な影響を与えるわけではないことがわかります。
事実、弊事務所での実績でも、法人か個人かで融資申請に大きな差はほとんど見られません。
ですので、融資を申請する際に「法人にした方が有利だ」と心配する必要はほとんどないと言えるでしょう。
4. まとめ
法人設立による融資の有利不利は事業の規模や状況によって異なりますが、
創業時においては、法人か個人かを選択しても大きな差はありません。
法人化することで、事業実績を証明しやすくなる場合もありますが、それだけが決め手ではなく、
どちらの形態を選んでも融資に与える影響は小さいことが分かります。
会社設立を検討する際は、しっかりと準備し、適切な選択をすることが大切です。
自分の事業にとって最も適切な選択を行い、今後の成功に向けてしっかりと道筋を立てましょう。