ホーム > 雑学アレコレ > 「成果主義」の問題解決

「成果主義」の問題解決

 外資系企業では昔から導入されていた成果主義について考えてみます。

日本の産業社会が労働集約型から知識集約型へ移行するに伴って“成果主義”の評価が日本企業に導入されましたが、目標管理制度などで実際に適用して見ると、多くの問題が発生し、一時は混乱状態に陥ったものの、今日では一段落したように見えます。

◆“成果主義”評価の問題解決状況
 発生した問題点と今日の解決状況を整理しますと、次の通りです。
[問題点の要約]
1.外部環境の変化や、会社の方針変更などにより、当初設定した目標達成の困難性が変化し、成果が公正性・納得性をもって評価できない。
2.達成度評価を過度に意識し、達成が容易な目標設定(目標の矮小化)に陥る。
3.個人の成果の評価を高めるため、ノウハウの独り占めなど、個人主義が横行し、チームワークを阻害する。
4.評価の対象にならないプロセス努力が軽視され、人材育成がうまく行かない。
[今日の問題解決状況]
 それらの問題は、多くの企業による改善努力によって、次のように解決されつつあります。
1.成果の評価は外部環境の変化などを考慮して、結果が出た時点で、困難性の実態を踏まえて行なう。
2.目標の矮小化を防ぐため、目標設定時にチャレンジ度を設定する。
3.成果は外部環境変化を考慮に入れ、チャレンジ度と達成度を組み合わせて評価する。(これは、外部環境変化などによって、目標達成の困難度・チャレンジ度が変化し、達成度評価の意味も変化するため。)
4.個人主義の横行など、チームワークを阻害する目標管理制度の運用を排除するため、チーム目標を設定し、協働の成果を評価する。
5.成果に繋がったプロセスでの行動を成果に含めて評価する。

◆経営者・管理者の留意点
 このように“成果主義”の評価は適正な方向へ向かって改善されつつあると言えますが、特に「チームワークを重視する目標設定と達成度評価」の問題など、なお不断の改善努力が必要な事項があります。
 チームワークの公正性・納得性を持つ評価は「チーム全員の協働による成果として、メンバー全員が同じ評価を受ける部分」と、「プロセスで成果に結びついた行動により成果に貢献したメンバー個人の評価を的確に行なう部分」の評価割合・基準にあると考えられ、引き続き努力したいものです。

同カテゴリでよく読まれている記事