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フィンテックの進化と事業での活用

 最近、フィンテックという言葉を耳にする機会が増えました。

これは、FinTechといって、Finance(ファイナンス)とテクノロジー(technology)を組み合わせた造語で、金融分野での技術革新を指します。世界全体では、アメリカが技術的に先行していて、決済、送金、不正監視、口座管理など、ベンチャー企業が新しいサービスを生みだしています。

 インターネットでの決済をはじめ、金融とITを融合させたサービスは以前からありましたが、フィンテックはより進化したサービスに特徴があります。

一例を挙げると、これまで、証券会社などでは、顧客の資産運用に関するアドバイスは、専門知識のある従業員が担っていました。

フィンテックでは、人工知能を活用し、資産運用に関する助言を人ではなく、機械で行うサービスといったものを出現させています。

 そして、もう一つの特徴は、スマートフォンを利用するサービスが中心となっている点にあります。

日本では、おサイフケータイがあり、既に、さまざまなサービスが利用できるようになっています。

たとえば、クレジットカード機能は、携帯電話をかざすだけで、クレジットカードを持ち歩かなくても、カードを利用できるようになっています。

 フィンテックは、さらに一歩進み、単に、カードが利用できるだけでなく、利用履歴をもとに、家計の収支がひと目でわかるようなサービスを提供しています。

使いすぎたときは「目標設定額を上回っています」といった警告を出してくれます。

そういう意味で、フィンテックの発展により、お金の面で、より便利な機能が使えるようになるといえます。

 

 最近、注目を集めているフィンテックですが、今後は、ますます新たなサービスが誕生するでしょう。

とくに技術の進歩が期待されているのは指紋認証の分野です。

数年後には、お財布を忘れても、指紋をかざすだけで、買い物やレストランでの支払いができる時代が訪れる可能性があります。

 そして、フィンテックが注目されるもう一つの理由は、金融業界の勢力地図が塗り替わる可能性が高い点にあります。

フィンテックがさらに進化することで、今後は送金業務をFacebookやLINEといった、一般のIT企業が担える可能性があります。

また、与信審査に関する技術も発展しているので、小口の融資は一般のIT企業でも可能になります。

 実現には、法的な問題など超えなければならない壁はありますが、こうした流れから、従来、銀行をはじめとする金融機関が担っていたサービスが、IT企業など、ほかの企業でも担えるようになります。

これまでの歴史を振り返ると、たとえば、テレビなどが独占していた映像の分野は、YouTubeの出現により、一般の人でも行えるようになりました。

 フィンテックの発展により、これまで金融機関でしか取り扱うことができなかった事業について、IT企業などの幅広い企業で行うことが可能になるのです。

ここに注目の理由があります。

銀行にとって、フィンテックは脅威となる可能性もありますが、裏を返せば、金融機関ではない企業にとって、フィンテックはビジネスチャンスのもとになる可能性があります。

 送金をはじめ、利用者が低価格を望んでいるサービスはたくさんあります。

ニーズに応えるサービスを生みだすことで、新たな収入源をもたらす可能性に繋がります。

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

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